宮島大聖院SHIZENNECTION

自身の作品でもって日々創造し続けるアーティストは、日本の文化をどう捉えているのか。
お一人ずつ言葉にしていただいた内容をシェアしていきます。

シリーズ【1】は、
2019年11月10日〜12月8日まで開催された
「 光と花展 」@宮島 大聖院で出品いただいた
木村良苑 先生のお言葉です。

キーワードは、◾️生命愛◾️
日本の文化は、生の裏側(あるいは行く末)に在る死を見据えた上で、生命への慈しみや喜びを表現するものではないかと思う。

いけばなをはじめとする日本らしい文化を考える時、死生観を外すことはできない。
すべての生き物は生を受けた刹那から死に向かって走り続けるのだが、その瞬間瞬間により、光と影・生と死などの二面性が切り取られる。

いけばなに於いては、生きている花の生を断ち切り、その花を「生かす」ように表現し提示することで、より多くの共感を得ることができる。
あるいは桜の開花を愛でると同時に花吹雪を潔しとして愛でる。
それは日本人の根底にある侘び寂びの感性によるものかも知れない。

(自身の作品制作に日本らしさを意識するか?)
ヨウジ立体線描は、ツマヨウジの軸と先端の連なりにより表現される。
制作テーマは「生命」の表現であり、多くは生き物(あるいはその部分)をモチーフとしている。

ツマヨウジは自然物である木から作り出される人工素材だが、その質感は「生きていた」木を感じずにはいられない。
ある種の植物素材である。
木としての生命を絶たれたツマヨウジに動き・躍動感を与えることで、新たな生命感を表現する。

制作にあたってはツマヨウジに線・面・角度を与えながら造形していくのだが、
出来上がった作品には(作者は意識していないが)いけばなで体得した植物の造形の面白さが反映されている。
そういう意味では、私の作品にはいけばなの要素が強く、その造形は日本らしさを持っていると言えるかも知れない。

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